朝ごはんには目玉焼き


 昨年、ヤクルトさんの健康イベントに行って、料理研究家の浜内千波先生のお話を聞いた。いくつか気になる本もあって、お名前だけ知っていた先生だったけど、とっても気さくで楽しいトークに引き込まれ、たくさん笑ってあっという間の時間だったんだ。その時に教えてもらったことの1つが「タンパク質を摂りましょう」だ。

あら、ウチはちゃんと摂っているから大丈夫〜と聞いていたら、あれれ?ちょっと気をつけなくちゃ!と思い直した。

まずは1日に必要なタンパク質の量、それは体重によるんだって。「体重のキロをグラムに置き換えた量と覚えてね」と先生。つまり、体重が100キロの人は100グラム、50キロの人は50グラムが1日に必要なタンパク質の量ということだ。

ただし、このタンパク質、体が吸収できるのは1回の食事で20グラムまでなんだって。だから、1回の食事だけで補おうっていうのは、ちょっと難しい。だから、体の大きなスポーツ選手は間食を上手に使って、何回もに分けてタンパク質を摂取しているんですよ、と先生は言っていた。

うーん。うちの朝ごはん、まずいかも。タンパク質、足りていないかも!

うちの朝ごはんは前にも書いたけど、ほぼワンパターンで、タンパク質らしいタンパク質といえば紅茶に入っている牛乳、スライスチーズ、そして豆乳ヨーグルト(おお、きなこを入れているのはマルだ!)、うーこんなもんだ…やっぱり足りなそうだ。これは何とかしなければ。

…ということで、目玉焼きが時々登場するようになったんだ。

 朝食がワンパターン化する前は、もっとよく作っていた目玉焼き、お野菜をサッと炒めたところに卵を割り入れて蓋をして蒸し焼きにするのがウチの定番。小さい時によく朝ごはんに作ってもらっていたのを真似して作っているんだ。

お野菜とのバランスがいいと言って、Tくんは喜んで食べてくれる。私ももちろん気に入っているけど、小さい時は目玉焼きだけで(お野菜抜きで)食べたいんだけどなあって、実はこっそり思っていたんだ。

 そのチャンスの日はやって来た。「お腹すいたー」と騒ぐハチベエを余所に、私は母の『栄養と料理』の「お料理1年生」みたいなコーナーの「目玉焼き」と睨めっこ、これを作ってみることにしたんだ。そう、目玉焼きだけの目玉焼きだ。

目玉焼きに作り方なんてあるの?って思うかもしれないけど、ちゃんと書いてあった。ちゃんと書いてあった通りに、軽量スプーンで油も水も測って、時間も測って、初めての目玉焼きを作ったんだ。そうして出来上がった目玉焼き、「目玉焼きなんて、食べたくない!好きじゃないもん!」と膨れてたハチベエだったけど、一気にペロリ!おいしかった〜って。ハチベエ、自分でもびっくりしていたみたい。

あれから何度も「あの目玉焼き、作って」って、せがまれたことは覚えているけど、作ったことはあの最初の日のことしか覚えていない。