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おばあちゃんのコロッケ

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 A子ちゃんが送ってきてくれたり、野菜屋さんのYさんが持ってきてくれたりして、ウチにおジャガが集結してきた。それで、ポテトサラダを作ったんだ。キュウリが苦手なので、うちのポテトサラダにはキュウリが入っていない。でも何か青っぽいもの、ネギとかピーマンとかを入れている。ジャガイモ、いつもはレンジでチンしちゃうんだけど、 「鍋で茹でて粉吹きにしたジャガイモはホクホクして格別です」 って奥薗先生の本で読んで、その日はおジャガを鍋に放り込んだ。  グツグツグツ、沸騰して吹きこぼれそうになる直前、鍋の蓋を少しずらして火を弱める。この動作でいつもFおばあちゃんと作ったコロッケのことを思い出すんだ。  あの夏、いつものようにイトコの家にハチベエと一緒に遊びに行ったら、おばあちゃんしか居なかった。イトコの家でおばあちゃんと3人。おばあちゃんの独占だ!そのことだけで、ハチベエと私、ずいぶんワクワクした。  午後4時になる頃、おばあちゃんがお茶の時間にいつも見るというテレビ番組を見ながら、缶入りのクッキーと紅茶をいただいた。それで、ごはんは何がいい?という話になったんだ。  父からウワサ?を聞いていたんだったかな。それとも、自分が’得意だからおばあちゃんから提案したのかしら、いや、ハチベエと私の大好物だから私たちがリクエストしたのかもしれない。ともかく、夕食のメニューはコロッケに決まった。  イトコの家では、普段Y伯母ちゃんがごはんを作っていたから、おばあちゃんがお料理をするところを見たのは(自分の記憶では)その時が初めてだと思う。ハチベエと私、まるで、ショーを見るかのように、おばあちゃんを見ていた。  洗って、皮を剥いて、切って、…流れるように進んでいく。ジャガイモの鍋がグツグツグツ、おばあちゃんは、サッと鍋の蓋を少しずらして火を弱める。ああ、なんてかっこいいの。全ての動作に無駄がなく、美しかった。  おばあちゃんは衣をつける前に「味見する?」と小さな俵形に形作られた裸のコロッケ?を食べさせてくれた。ジャガイモのマッシュに入っているのは、これまた茹でただけのニンジンとインゲン。当時、ニンジンもインゲンもそんなに好きじゃなかったはずなのに、このままでいいから、もっと食べたい!と2人で騒いだほど美味しかった。  戦中ー戦後、今のように何でも手に入るわけじゃなかった時代に、工夫しながら5人の