ホットケーキは2枚重ね

  


 実家に帰った。金土日の短い滞在。今回、行きが早い時間なのは良かったけど、帰りの飛行機の出発時刻も早くて、ちょっと忙しない気持ちだった。帰る日は朝から荷造り、ごはんを食べたら出発だ。ちょっと雨もパラついていたので、父が駅まで車で送ってくれた。順調に駅に着き、余裕をもって改札を通り、チェックインでもしておこうとホームでアプリをクリックした。
 あれ?飛行機の時間がおかしい。15時出発になってる。え?11時じゃなかった?と混乱していたら、Tくんからもメッセージが。「昨日のチェックインメールには15時と」え??と焦る私。じゃあ、このカレンダーにある時間は何?
 それは、行きの飛行機の到着時間だった。iPhoneのカレンダーに間違えて登録してしまったのだ。正しくは15時の飛行機。ああ、電車に乗る前に気づけて助かった!それで、もう一度迎えに来てもらって、またうちに帰ったんだ。

 おっちょこちょいが似たわね〜と大笑い。でも、ちゃんと戻って来られたおかげで、お昼には父が焼いたホットケーキにありつけた。

 ホットケーキ、母が焼くときはいつも大きなフライパンで1枚、大きいやつを焼いて、4等分するのが常だった。その方が一度に4人分焼けて、みんな一緒に焼きたてを美味しく食べられるし、合理的で賢いやり方だ。でもね、それって、ホットケーキって感じがしないなぁ…って、こっそり思ってたんだ。
 ホットケーキミックスのパッケージのも、デパートのレストラン街で見るよく出来た見本のホットケーキも、きつね色した丸いやつが2枚重ねられていたからね。その上に四角いバター、そしてたっぷりかけられたシロップ。こんなホットケーキに憧れていた。

 そんなある日曜日の朝、父がホットケーキを焼いてくれた。父は薄力粉とベーキングパウダーでミックス粉を作り、お砂糖と水を煮詰めてシロップを作った。かくして、お皿に盛り付けられたホットケーキは、きつね色で、丸くて、2枚重ねだった。本物の(?)ホットケーキだ!

 あれからもう何十年も経っているけど、やっぱり父の作るホットケーキはいつもこんなふうに2枚重ねなんだ。