ふわり香る秋の手ぬぐい

うちでは、お風呂あがりに体を拭くのはタオルではなく手ぬぐいだ。乾きやすいし、しようと思えば煮沸もできるし、かさばらないし、ということで、手ぬぐいを使っていた。それをさらに管理をシンプルにしようと、この夏ぐらいから私だけ、サラシを手ぬぐいサイズに切ったものを使っている。理由はサラシも手ぬぐいも綿100%で素材は同じだろうということ、安いと言うこと、そしてサラシなら元々真っ白だから、いざとなれば塩素系の漂白剤も使える!と思ったからだ。この夏はいつもより一層生乾き臭が気になっていて、「ええい!」という気持ちだったんだ。

長い長い夏が終わって、夏の終わりのようだった秋も自分らしさを取り戻し、最近はようやくカラッとした空気を家に入れることができるようになった。爽やかな風!手ぬぐいも干している側から乾き始めているような気がするくらいだ。毎日が洗濯日和。にっくき生乾き臭からもサヨナラだ!

そんな秋の日のある夜、お風呂上がりにいつものように手ぬぐい(実はサラシ)を手に取り、顔を一拭き。ん?あれ?なんだろう、このにおいは?せっけんじゃない。シャンプーじゃない。洗剤のにおいでもない。

それは、金木犀の香りだった。
満開の金木犀の香りをたっぷり含んだ風に乾かされた手ぬぐいたちは、すっかり金木犀の香りになっていたんだ。わあ、こんなことってあるんだね。

ふわり、ふわり、微かだけどたしかな香り。金木犀からの思いがけないプレゼントを発見して、お風呂上がりに一人、うふふ。秋だね。