タマゴイロノホタルバナ

 

 朝の連続テレビ小説を久しぶりに見ている。第1回の日はちょうど実家に帰っていて、7時のニュース番組に出ていた主演の神木くんのインタビューまで見たのに、その後は見逃してしまって、残念ながら最初の日以降の子ども時代を見ることなく、第2週からの視聴だ。けど、『らんまん』、Tくんと楽しく見ている。

 ドラマのモデルになっている牧野富太郎、実は小学1年生の時から知っている。小学校入学のお祝いにもらった本の1冊が「えらい人のはなし 小学1年生」みたいなやつで、色々な人の伝記集だった。その中に牧野富太郎さんがいたんだ。

 その後の私の人生において、牧野氏のことが特に何かの話題になることはなかったけれど、10年以上前にTくんと行ったハーバード大学の自然博物館で、牧野富太郎さんの名前を見つけた時には興奮した。「わあ!あの伝記の人だ!すごい、こんな所で出会えるなんて!」それで、Tくんにも、ちょっと偉そうに解説した、というのは嘘で、日本の植物学の第一人者なんだよと注目させたくらいのことだったけど、Tくんもへえ!と感心してくれて、ちゃんとその時のことを覚えていた。

 もう、こんな季節か。ドラマの主人公のように道端の草に目をやった。やわらかい光を灯す小さな花が咲いている。午後、ちょっと太陽の光が斜めになって来てから咲く花だ。この花は八兵衛に教えてもらったか、いや八兵衛に教えたか、どっちがどっちだったのかは忘れたが、ふたりで遊んだ風景をほのかに彩る花のひとつだ。だから、この花を見かけると、いつも八兵衛のことをおもうんだ。

 この黄色い色、太陽に向かって力強く笑うヒマワリの花の黄色とは全然違う。夕方から一晩だけ咲いて、朝にはしぼんで、朱色になってしまう。この花はたまご色だね、とか、ホタルの光の花だね、とか言い合って、ふたりとも妙に気に入っていた。太陽の下ではなく、月の光の下で咲く花だから、なんとなく印象だけで「ツキミソウ(月見草)」と呼んでいたけど、いつだったか、それは違うらしいと分かって、でも何という名前なのかはちゃんと明らかにせずにいた。

 例のごとく、グーグル先生に聞いてみた。写真と照らし合わせてみると、どうやら「コマツヨイグサ(小待つ宵草)」みたいだ。

 牧野先生に聞いてみたかったけどね。