冷蔵庫が好き

 

 Tくんは冷蔵庫に何が入っているか、あまり知らない。ほとんど興味が無いのだ。子どもの頃、何かにつけ、冷蔵庫を覗き込んでいた私とは大違いだ。

 学校から帰ったら、一番に冷蔵庫を開けていたような気がする。プリンとかゼリーとかのデザート、いちごや葡萄のフルーツだけじゃなく、おかず関係のものも、何か美味しそうなものは入っていないかと気になって、いつもチェックしてたんだ。我ながら実にいやしんぼだ。

 学校から帰った時に見つける「冷蔵庫に***が入っています」という置き手紙が嬉しくて、それで冷蔵庫好きになったのかもしれない。

 魅惑的なものでいっぱいだった子どもの頃の冷蔵庫と違って、今のウチの冷蔵庫は閑散としている。だけど、今は違う意味でそんな自分のスッキリ冷蔵庫が好きだ。

 なるべく中身が見えるように、ジップロックコンテナーとかweckやイワキの蓋付きのガラスの器が大活躍。傷んでいるものがあることに気づくのが遅れないように、脱臭剤は使わず、庫内は気になった時にすぐにアルコールで拭いてあげるようにしている。これは、町田貞子さんの本『暮らし上手の家事ノート』の冷蔵庫のところを参考にしたんだ。町田さんのこの本、昔、本屋でたまたま手に取って出会えた本なんだけど、家事・整理整頓に関しては一番の本なんじゃないかと思っている。こんな風に暮らし上手になれればいいなあと思って、古い本だけど、今も手元に置いて、時々読んでいる。

 高校生の時、家庭科の自由研究課題を「冷蔵庫内の掃除と整理整頓」としたぐらいだから、やっぱり、いやしんぼというばかりではなく、こういうことも好きだったんだな。