ABCが歌えても

英語の【音】に楽しく親しめるDr. Seussの絵本

  今でこそ、英語への拒否感は全く無く、むしろ「英語圏の映画なら、英語で聞きたい!」と思うくらいだけど、中学生になる直前、初めて英語という教科に触れた時は思考停止状態だった。まさにフリーズ。どういうこと?なんなの?わけがわからない!

 英語好きの母の影響で、子どもの頃から英語に触れる機会は多かった。寝る時の挨拶は”Good night!” だったしね、これ、赤ちゃんの時からなんじゃないかしら。『ムーミンとえいごであそぼう』っていう教材もあって、これでABCの歌も覚えたし、他にも何か音教材があって、1週間の歌、ビンゴの歌、お菓子屋さんへいく歌などなど、英語には慣れているつもりだったから、中学で英語を習うようになったら(当時は中学校からだったからね)、きっと得意科目になるに違いないと思い込んでいた。ところが!それは見事に打ち砕かれ、英語のプリントを前に、中学入学を目前にして、わたしは途方に暮れていた。

 「何がわからないの?」と不思議がる母。そんなの、わたしにだって分からない。分からないものは分からないのだ。分からなさを説明できないって、もどかしい。

 今なら説明できる。どこで思考停止してしまったのか。

 日本語はフォニックな言語だ。文字と音が対応している。「あ〜ん」までのいわゆる50音と「がぎぐげご」のような濁音と「ぱぴぷぺぽ」の半濁音と「きゃきゅきょ」のような拗音、小さい「っ」の促音の読み方さえ学べば、どんな難しい単語も音声として発することができる。意味を知らない単語でも、ひらがなで表記されてさえいれば、読めるのだ。

 英語は違う。アルファベットそれぞれの読み方を学んでも、それだけでアルファベットで書かれた単語は読めない。Uは「ユー」と知っていても、”us”は読めないし、Pを「ピー」と読めても、”pseudo”なんて、発音できない。

 「あいうえお」の読み方を学んで、多くの本を読んで、日本語を身につけてきたわたしは、同じように英語も身につけようとした。それなのに「ABC」の読み方を学んだにもかかわらず、アルファベットで綴られた文が読めないという事態に直面し、心底、戸惑ってしまったんだ。

 英語って、一つ一つ、言葉の読み方を覚えなくちゃいけないの?!そんなの、やってられるか〜!

 途方に暮れていた当時の自分に教えてあげたい。「あいうえお」のように単純じゃないけど、英単語の読み方のヒントになるようなものはあるんだよ。それは「フォニックス」だ。アルファベットの文字それぞれの音のこと。ABCの歌と同じように歌がある。今の子どもたちは、ちゃんと習ってるみたい。

 ABCの歌は、文字の【名前】を覚える歌。文字の【音】を覚えるには、フォニックスの歌じゃないとダメなんだ。