最古のイチゴジャムの記憶


この写真は、父が借りていた畑で撮られたものだと思う。ちゃんとアルバムに貼ってあった時に几帳面に添えられたコメントに書いてあったような気がする。

この写真、実はあまり人に見られたくなかったんじゃなかったかな。うっすら覚えているこの情景とともに、鼻の奥がツンとする感覚。3歳児にも辛いこと、あるんだよ。

写真の日かどうかは定かじゃないけど、この畑で父とたくさんたくさんイチゴを採った。
春の日差しを背中に感じてうずくまってイチゴを採る。暑いくらいだ。甘いイチゴの匂いに土の匂いが混じってる。夢中になって採る。甘いイチゴに小さいありんこがくっついている。手も甘い汁でベタベタだ。
たくさん採って家に帰った。玄関を開けたら家中がイチゴの甘い匂いでいっぱいになっていた。母がイチゴジャムを作っていたんだ。家の空気は完全にイチゴ色だった。むせ返るほどのイチゴの匂い。大量のイチゴジャム。

これが私史上最古のイチゴジャムの記憶。ちょっとおかしいな。イチゴ取って帰ってきたところなのに既にイチゴジャムは製造中だなんてね。

タイトル写真の裏に年と月が書いてあった。八兵衛が生まれた翌月。
当時はその頃がイチゴの季節だったんじゃないかな。この頃は冬が旬らしいけどね。